錦繍録

書評とか.

「人の能力を最大限に引き出すには、学歴や知識、経験よりも、感情的な影響を与える接し方や言動のほうが重要だ」|人を動かすマネジャーになれ!/BRIAN TRACY

古くはフレデリック・テイラーアンリ・ファヨールによって組織の管理の実践的な技法を学問として体系付けられた領域であるマネジメント。本著では、多岐にわたるマネジメントの範疇の中から特に、【部下やチームのパフォーマンス】【人材の選抜】【マネジャーとしての態度と原則】に関して言及している。

 

 

 人材の選抜といえば、最近サイバーエージェントの藤田社長のブログにもあったこの記事

「ビジョナリー・カンパニー2」にも記載されている、

はっきりさせておきたいが、この章の要点は適切な人材を集めることだけではない。それだけであれば、新しい点は何もない。まずはじめに適切な人をバスに乗せ、不適格な人をバスから降ろし、その後にどこに行くかを決めること、これがこの章の要点である。

ここのことだ。

 誰をバスに乗せるかということに関してはそちらに預けるとして、ここでは、この本の最もぐさっと心に刺さった点を記載しておく。

 

 

 

「人の能力を最大限に引き出すには、学歴や知識、経験よりも、感情的な影響を与える接し方や言動のほうが重要だ」

この言葉は筆者自身がかつての傲慢な態度で管理職に就任した時に起こしたエラーから学んだ教訓。

誰しも人生のあるポイントでこの教訓そのものもしくは似るものを感じ取ることが多いのでは、と思う。

 

 

この重要と言われている「感情的な影響を与える接し方や言動」について、【部下やチームのパフォーマンス】【マネジャーとしての態度と原則】としてまとめて解説している。細かく言及せず、読書メモとして転記・引用する。

 

【部下やチームのパフォーマンス】に関して

理想的なバランスは、自分の中にある自己像と、自分が考える「他人から見た自分」と、実際の「他人から見た自分」が、すべて調和している状態だ。

最高のパフォーマンスを発揮できるチームと職場環境をつくるには、次の3つのことが必要になる。

  1. メンバーのすべてが、会社の価値、ビジョン、ミッション、目的、目標をきちんと理解し、忠実に守る。それを実現させるのは、マネジャーの大切な役割だ。
  2. マネジャーであるあなたは、すべての部下が前向きな自己像をもてるよう、つねに努力しなければならない。部下全員が、「自分はチームにとって大切な存在で、価値があり、能力があり、つねに成長している」と思わなければならない。
  3. マネジャーであるあなたは、つねに部下の自尊心の基礎を築き、さらに高めるよう努力しなければならない。あなたの接し方によって、部下がさらに自分自身を好きにならなければならい。 

 

状況を変えたいと思ったら、方法は4つしかないという話を覚えているだろうか?
良い結果が出ている行動をさらに増やす。
良い結果が出ていない行動を減らす。
現在やっていない行動をはじめる。
そして、為にならない行動をやめる。 

 

意見が合わなくても、無愛想になってはいけない。意見が合わない時は、愛想よくしながら反論する、ということだ。(中略)異なる見解を処理する1つの方法は、冷静になって相手の立場煮立つことである。相手が間違っていることを主張したら、口論をはじめるのではなく、穏やかな口調で「なぜそう思われるのですか?」と質問しよう。

 

恐怖心は誰にでもある。これは事実だ。(中略)恐怖には1つの大きな共通点がある。それは人間から動きを奪うことだ。人は恐怖を覚えると、身体が麻痺したように動かなくなる。恐怖が忍び込んでくると、安心と安全の欲求を満たすために、人は即座に恐怖を最小限を抑えるか、避けようとする。恐怖を感じた人が考えるのは、恐怖を避けることだ。パフォーマンスと効率性を最大化しようとは考えない。

 

部下の無限の可能性を引き出すのはマネジャーの役割だ。そして、その役割でもっとも大切な仕事の1つは、職場からあらゆる恐怖を取り除くことだ。

 

マネジャーとしてもっとも大切な仕事の1つは、部下のなかにある失敗への恐怖を中和することだ。そのためには、失敗するのは悪いことではないと、部下に伝えなければならない。部下に仕事をまかせるときは、ベストを尽くせと励まし、たとえうまくできなくても、上司である自分はそれを教訓として受け止め、前に進んでいくとも伝えるのだ。
(中略)そもそもリーダーの頭のなかには、失敗という概念は存在しない。彼らは「失敗」という言葉は使わず、代わりに「勉強になった経験」「興味深いフィードバック」「目標には及ばない結果」というような表現を使う。

 

わたしは何よりもまず、その人物に「わたしの責任です」ということを促している。いったん責任を引き受けてしまえば、もう言い訳をすることも、自分を弁護する必要もない。
(中略)次にわたしは「私達はこの状況から何を学ぶことができるだろう」と質問をする。
(中略)恐怖を取り除くもっともよい方法の1つは、目の前の状況から離れ、未来に目を向ける表現を使うことだ。「次は」「将来は」「今後は」といった言葉だ。

 

効果的な権限委譲には7つのステップがある。(中略)

①まかせる仕事に最適な人物を選ぶ
②課題をまるごと任せる
③具体的な目標値を伝える
④権限委譲に際して部下とよく話し合う
ここに重要な考え方がある。人には「目で理解する人」と「耳で理解する人」の2種類がいるという考え方だ。(中略)部下に権限を委譲するとき、視覚と聴覚の両方に訴えなければならない。課題の内容を口頭で伝えるときは、かならず部下にメモを取らせる。そして話し合いがおわったら、部下に仕事の内容を口頭で説明させる。
⑤最終的な期日と、中間の区切りの期日をはっきり決める
⑥仕事をするのに必要なリソースを使う権限を委譲する
⑦権限を委譲したら、そこから先はすべて部下に任せる